TSCCフリーコーヒーと
ボランティアのこれから
社会貢献と継続性の両立を目指して

2025年5月11日、TSCC(タナカシンヤカフェクラブ)が「きらきらこどもフェス」に出展する。
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TSCCとは「タナカシンヤカレークラブ」「カフェクラブ」「チャリティコミュニティ」など、趣味の延長線上から広がる緩やかなネットワークであり、コミュニティの頭文字としてTSCCを冠することで様々な活動を展開できる自由さが魅力だ。

今回の出展では、カフェクラブとしてアイスコーヒーの提供を行う。

しかし、ここで課題となるのが「販売」という行為に伴う心理的な負担と、その価値の受け止められ方である。

現代は、コンビニで100円で買えるコーヒーが当たり前の時代。

見知らぬ素人が淹れたコーヒーに300円や500円の価格がつけば、たとえイベントでの提供であっても、買い手側にとって満足感が得られにくい。
逆に、提供側も「お金をもらっている以上、それに見合う品質を求められる」というプレッシャーを受けることになる。
ましてや、販売する側がボランティアで報酬を受け取っていない場合、その負担感は一層大きい。

このような背景から、「いっそ無料で配ってしまおう」という提案が出された。
来場者にとって無料でアイスコーヒーを手にできることは、気軽さやちょっとした喜びにつながる。
また、暑い日の冷たい飲み物は何より嬉しいサプライズでもある。
無料配布であれば、配る側も「どうぞ」と自然に笑顔で渡せる。
お金のやり取りによるストレスや期待値のミスマッチを回避できるのだ。

この方針に加えて、「寄付」の仕組みも導入する。
ブースには募金箱を設置し、自由に小銭を入れてもらう形をとった。
集まったお金はすべて、子ども食堂などの社会的意義ある活動に寄付される。

このスタイルは、単に飲み物を無料で配る以上の価値を持つ。

TSCCの活動が「社会貢献活動」として認知されれば、そこには企業や個人が「支援したい」と思う土壌が生まれる。

たとえば、コーヒーの材料費をスポンサーに出してもらうという形であれば、活動資金も確保できるし、スポンサーには地域貢献のイメージアップというメリットがある。

こうして「お金はもらわないが、価値は生み出す」仕組みが生まれた。

TSCCは、時間や経済的に余裕のある人々が「集う場所」であり、そのつながりの中で、さらなる発展的な活動へと広げていくこともできる。

今後の構想としては、異業種交流会「シンヤ食堂」のような取り組みも視野に入れている。これは、ある程度費用を負担してもらいながら、食事と交流の場を提供する仕組みである。

たとえば、会費10,000円のうち5,000円分は食事提供に充て、残り5,000円を寄付にまわすといった形式だ。
ここでは、しっかり利益を取る「通常の商売」としての顔を持ちつつ、結果的に社会貢献にもつながるという構造が作られる。

ボランティア活動は善意によって支えられている。
しかし、それだけでは長くは続かない。
続けるためには、時間・労力・金銭のいずれかの負担をどこかで軽減する仕組みが必要だ。

TSCCが目指しているのは、ボランティア活動を「やる側」にも「受ける側」にもストレスの少ないものにし、かつ第三者の関与によって支えられるような循環型のモデルだ。

その第一歩として、今回の「フリーアイスコーヒー」企画は重要な意味を持つ。

イベントを通して、「無料で配る」「募金箱で寄付を受ける」「スポンサーから協賛を募る」「活動自体を楽しむ」といった要素が自然に絡み合うことで、社会貢献と楽しさの両立が可能になるのだ。

この仕組みは、単なる一過性の施策ではない。

継続的な社会活動を成立させるヒントを与えてくれるものであり、TSCCが今後も柔軟に活動の幅を広げていく可能性を示している。

趣味の延長から始まったTSCCが、社会のなかでどのように進化していくのか。その動向に、今後も注目していきたい。